最近では、前職に再就職する「出戻り転職」を受け入れる企業が増えています。
背景には、深刻な人手不足や採用難があるでしょう。
実は私がこの「出戻り転職」という仕組みを初めて知ったのは、2000年代後半のこと。
最初に勤めた外資系IT企業では、当時からすでに出戻り転職がごく自然に行われていました。
なぜ外資系企業では、昔から出戻り転職(=Rehire)を積極的に活用していたのか。
その採用事情について、実体験をもとにお話ししたいと思います。
Rehireは重要な採用チャネルのひとつ
私が勤めていたアメリカの大手IT企業では、出戻り転職のことを「Rehire」と呼び、
いくつかある採用チャネルのうちの一つとして公式にカウントされていました。
Rehireとはつまり「再雇用」。会社都合・自己都合にかかわらず、
一度退職した元社員を再び採用することを意味します。
その企業では以下のような採用チャネルがありました:
- ダイレクトリクルーティング(スカウト)
- 自社採用サイト・転職サイトからの直接応募
- 転職エージェント経由
- 社員紹介(リファーラル)
- Rehire(再雇用)
Rehireは外部に積極的にアピールしていたわけではありませんが、
採用部門としては確実に成果を上げやすいチャネルの一つとして重視されていました。
社員紹介に近い形での出戻り転職が多い
外資系企業、とくにIT業界ではリファーラル採用(社員紹介)を重視しており、
「知っている人を紹介する」という流れが自然にできていました。
Rehireにおいても、元社員が転職サイト経由で再応募することもありますが、
実際には現社員から「●●さん、またうちで働きたいって言ってるよ」と紹介されるケースが多かったです。
要は「元同僚が困っているならまた一緒にやろうよ」という文化が根付いていたのです。
昔の上司が再び採用するケースも多い
自分のチームで働いていたものの、一度は辞めてしまったメンバーを、
再び採用するというケースも多く見られました。
たとえば、退職後もやり取りが続く中で、
「今の職場が合ってない」「転職失敗だった」と感じている元メンバーに対し、
元上司が「うち戻ってこない?」と声をかける─そんなことも珍しくありません。
当然、元上司がその募集ポジションのHiring Managerであることが多いため、採用確率は非常に高くなります。
外資ではHiring Managerの裁量が大きく、Rehireもその判断に左右されます。外資の選考プロセスについて知りたい方はこちらの👇記事も参考にしてください。

出戻り転職は人材流動性の高い外資のカルチャーにフィット
出戻り転職は「人材が流動的でオープンなカルチャー」にこそフィットします。
外資系企業では、常に人が入れ替わることが前提になっているため、
「一度辞めた人が戻ってくる」という状況もごく自然なこととされています。
「勝手に辞めた人が戻るなんて…」といったネガティブな雰囲気はまったくありません。
むしろ、すでに働いた実績があり素性も把握できている人物は、即戦力として非常に歓迎されます。
また、外資では採用時にバックグラウンドチェックを行うことが一般的です。
その点、Rehireはすでに信頼できる経歴を持った人材であるため、
採用部門としても安心して選考を進めることができます。
外資に出戻りする場合も、前回と異なるチームや上司になるケースがあります。環境が変わることでミスマッチが起こることもあるため、再入社後に失敗しないための注意点はこちらの記事で整理しています。

ただし、誰でもRehireされるわけではない
いくら出戻りが一般的とはいえ、全員が再雇用されるわけではありません。
私が勤めていた企業では、社員が退職する際、上司が「退職評価ランク」を付けており、
このランクが一定以下だと、Rehireは原則不可というルールが存在しました。
また、元上司がすでに会社を離れている場合も、社内に記録された過去の評価が優先され、
いくら推薦があっても採用には至らないというケースもありました。
当然ですが、以前と異なる部署や職種に応募してきた場合には、
改めて面接を通じて適性がしっかりと見極められます。
出戻り転職のカギは「退職時とその後の関係性」
出戻り転職を成功させるためには、「辞め方」と「その後の人間関係」が非常に重要です。
在籍時にしっかりと成果を上げ、誠実に仕事と向き合い、
さらに円満退職・円滑な引き継ぎができていたかどうか。
こうした印象が、Rehireの際に大きく影響します。
また、退職後も元上司や同僚とゆるやかに関係を保っておくことで、
「今ちょうどポジション空いてるんだけど、どう?」と声がかかることもあるでしょう。
とくに外資系企業は業界も狭く、ネットワークが非常に重要です。
出戻りだけでなく、他社でのキャリアにも好影響を与えるはずです。
出戻り転職を視野に入れる場合も、年収アップのタイミングを見極めるのは重要です。外資系で年収を上げやすいタイミングを解説した記事はこちら。

まとめ|出戻り転職は大きなキャリア資産になる
外資系企業では、出戻り転職は特別なことではなく、
きちんと評価されていた人材であればごく自然に歓迎される文化があります。
一度辞めた会社に戻ることに抵抗を感じる人もいるかもしれませんが、
実力を認められた上でのRehireは、むしろキャリアの強みになります。
もし制度がある会社であれば、出戻り転職は積極的に活用していくべきです。
そして在籍中・退職時・退職後、それぞれの振る舞いが「未来のRehire」を左右する─
そんな視点をもって、日々のキャリアを築いていくことが大切だと思います。
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