外資系企業に興味はあるけれど、何から手をつければいいのか分からない。
そんな気持ちになる人は少なくないと思います。
英語、レジュメ、LinkedIn、転職エージェント、面接対策…。
調べれば調べるほど情報が増えて、余計に迷ってしまうんですよね。
でも実際のところ、外資系転職には 踏むべき「順番」があります。
この順番を間違えなければ、初めての外資挑戦でもスムーズに進めることができます。
私自身も外資への転職を数回経験し、採用担当・エージェントとしても候補者を面接してきましたが、良い結果につながった人は例外なく準備がしっかりと出来ていました。
外資系転職は難しそうなイメージがあるかもしれませんが、実は「準備の順番」さえ押さえれば、大きく迷うことなく進められます。必要以上に複雑に感じるのは、やるべきことの優先度が見えないだけです。
このあとは、どこから手をつければいいのか、何をどの順番で進めれば失敗しにくいのかを、できるだけシンプルに整理して紹介していきます。
ここでは、外資系転職をこれから本格的に始めたい人向けに、
まず何から取り組むべきかを整理して紹介します。
外資系転職の準備は「順番」がすべて|迷わず進めるための5ステップ
① 英文レジュメを準備する
日系企業の選考では、書類が完璧でなくても、面接での印象や伸びしろ、ポテンシャルを評価して採用につながるケースがあります。
「実績はこれからでも、人物面や可能性を見て判断する」という文化が比較的残っていると思います。
一方で外資の場合は、レジュメ段階でスキルの適合度・成果の再現性・組織貢献の可能性を精査する傾向が強く、このフェーズである程度の選考判断が下されます。
そのため、面接でのパフォーマンス以上に、レジュメの時点でどれだけ自分の強みを可視化できているかが、選考全体の進みやすさに影響しやすいと言えます。
採用担当が最初に確認するのもレジュメなので、ここで成果が読み取れないと、面接の機会を得るのは正直難しくなります。
だからこそ外資系転職では、面接対策より先にレジュメの完成度を高めることが、遠回りに見えて実は一番の近道になると感じています。
レジュメで意識したいポイントは大きく3つあります。
- 担当業務を説明したうえで、「どんな成果を出し、どのように貢献したのか」まで書く
- 売上・KPI・改善率などの数字や指標を使って成果を分かりやすく示す
- 社内用語や略語ではなく、グローバルに通じる表現に置き換える
担当業務を書くことはもちろん必要ですが、成果と貢献まで書けているレジュメは一気に説得力が増します。
英文レジュメが整っていると、その後のLinkedIn、面接、年収交渉までの流れが一気にスムーズになります。
② LinkedInのプロフィールを整える
外資系の中途採用では、LinkedInを活用する企業が多く、準備しておくと転職を有利に進めやすいです。
実務経験がしっかりある人ほど、効果が表れやすいツールだと思います。
企業の採用担当や外資系に特化した転職エージェントの多くは、LinkedInを使って候補者をサーチしているため、プロフィールが整っていないと、せっかくの経験やスキルが発見されず、選考のスタートラインにも立てないことがあるからです。
逆に言えば、プロフィールがしっかり整っているだけで、応募しなくても声がかかる「受け身の転職」ができるようになります。
転職の難易度が一気に下がるので、外資系を目指すなら整えておきたいところです。
そのために、特に意識しておきたいのは次の点です。
- About(職務要約)は簡潔に、主要キーワードを散りばめる
- 経験欄では成果を箇条書きで、短くインパクトを出す
- プロフィール写真はビジネス向けにして信頼感を出す
- スキル欄に狙う職種のキーワードをきちんと入れる
- 英語UIで作成し、海外のリクルーターにも見つけてもらう
LinkedInが充実してくると、
自分から積極的に応募しなくてもスカウトが届き始めたり、
気づかなかった魅力的な求人との出会いにもつながっていきます。
転職の選択肢が格段に広がるので、できるだけ早い段階で準備しておくのがおすすめです。
LinkedInの詳しい活用方法はこちらの記事をご覧ください。
LinkedIn転職の始め方|外資系からスカウトを狙う方法
③ 求人チャネルを選ぶ(最短で内定を狙うには?)
外資系企業の求人を探す方法はいくつかあります。
| チャネル | 特徴 |
|---|---|
| 転職サイト | 求人数は多いが競争も多い |
| 企業HP | 企業研究が進んでいる人に◎ |
| スカウトの可能性が高い | |
| 転職エージェント | 非公開求人・企業内部情報・年収交渉に強い |
「どれが正解か」は人によって違います。
- LinkedInでスカウトが来やすい人
- 求人の幅を広げながら進めたい人
- 年収アップにこだわりたい人
- 初めての外資挑戦で不安がある人
それぞれ最適なチャネルが異なります。
LinkedInではグローバル企業からのアプローチを受けやすくなり、転職エージェントでは「求人紹介+企業カルチャー理解+選考対策+年収交渉」まで一気通貫でサポートしてもらえます。
どちらかに偏るよりも、両方を活かすことで自分に合った求人に辿り着く確率が高まり、選考突破率も上がります。
LinkedIn と転職エージェントの違いや、併用するメリットをもっと詳しく知りたい方は、こちらの記事も参考にしてください。
⇨外資系転職|LinkedIn × 転職エージェント徹底比較
転職の進め方に迷っている人にとって、判断材料になると思います。
④ 面接対策は「行動事例ベース」で行う
外資系企業の面接は、「印象」や「熱意」だけでは評価されません。
重視されるのは 過去の成果を再現できる力があるかどうか。
つまり、「どんな結果を出してきた人なのか」「その結果をどのように導き出したのか」を言語化して伝える必要があります。
そこで役立つのが、外資採用の現場でよく用いられる STARフレームワークです。
| 項目 | 内容 | 目的 |
|---|---|---|
| S:Situation | 状況 | 背景や課題の説明 |
| T:Task | 役割 | 自分に求められたゴールを明確化 |
| A:Action | 行動 | 判断・工夫・プロセスを具体化 |
| R:Result | 結果 | 成果・改善・学び・再現性 |
ここでポイントになるのは、A(Action)の密度です。
何をしたかの羅列ではなく、「どう考えて行動に至ったのか」「優先順位の判断」「難しい局面でどう対処したか」まで語れると説得力が一気に高まります。
とはいえ、いきなりSTARでまとめようとすると抽象的になりがちなので、まずは自分の行動事例を深掘りするところから始めるのがおすすめです。
下の質問リストを使うと、行動の裏側にあるプロセスを整理しやすくなります。
▼ 行動事例を深掘りする「質問リスト」
▼ Situation(状況)を整理するための質問
- どんな課題・問題・背景があった状況だったか?
- その時のチーム体制・関係者・期限はどのようなものだったか?
- 「なぜ自分が動く必要があったのか?」が他人に説明できるか?
▼ Task(役割・期待)を明確にする質問
- その場面で、自分に期待されていた役割は何だったか?
- 自分で決めた目標と、会社・上司から求められた目標は一致していたか?
- 成功の判断基準(KPI・ゴール)は何だったか?
▼ Action(実行プロセス)を掘り下げる質問
- 最初の一歩として何をしたか?なぜその順番を選んだか?
- 優先順位はどのように判断したか?
- 直面した障害・反対意見にどう対応したか?
- 1人で完結できなかった部分は、誰とどのように連携したか?
▼ Result(成果・学び)を言語化する質問
- 結果として何が変わったか?(数値・改善度・インパクト)
- 周囲からの評価はどうだったか?(顧客・上司・社内)
- 経験からどんな学びがあり、今の仕事にどう活かしているか?
- 同じ状況が再び来たら、今ならどう動くか?
上の質問すべてに答えられたら、それだけで1つのSTAR回答の核が完成します。
事前に文字でまとめておくと、面接本番でも自然に話せるようになりますよ。
最後に1つだけ大事なポイントを添えておくと、
STARは「良い話だけ」を並べる必要はありません。
うまくいかなかった経験でも、
課題の認識 → 試したこと → 改善 → 学び → 次にどう活かしているか
まで話せれば強いアピールになります。
外資系企業が知りたいのは「完璧さ」ではなく再現性と成長可能性だからです。
⑤ 年収交渉まで見据えた準備をしておく
外資系企業は年収交渉の柔軟性が高く、最終的な提示条件は「交渉の仕方」によって大きく変わることがあります。
同じポジション・同じ職務内容でも、候補者によって年収水準が変わることは珍しくありません。
一方で、面接の最終段階になってから慌てて交渉材料を集めても、準備不足になりがちです。
交渉は「最後だけ頑張る」のではなく、選考の序盤から情報を積み上げておくことがポイントです。
特に次の4つは早めに整理しておくと大きな武器になります。
- 現在の給与の整理
基本給・ボーナス・手当・株式報酬など、条件の内訳を明確にしておく。さらに、翌年以降に昇給・昇格・賞与アップの予定があるなら、評価面談記録・目標達成状況・査定の基準など、将来の年収上昇を裏付けるエビデンスも交渉材料になります。 - 希望年収の根拠 金額だけ伝えるのではなく、「この水準になる合理性」を説明できるよう準備しておく。
- 市場価格の把握 同職種・同業界の一般的な年収レンジを把握しておくと説得力が高まる。
- 入社後の貢献イメージ 「入社後6〜12ヶ月でどのような成果を出せるのか」を言語化しておくと、提示条件の上振れにつながりやすい。
こうした下準備があると、オファー前の条件調整がスムーズになり、
候補者側から条件を引き上げる余地が格段に広がります。
年収交渉は知識と準備があれば確実に有利に進められますが、誰にとっても簡単なものではありません。
「希望額を伝えていいタイミングはいつか」「どこまで強気に出ても大丈夫なのか」「断られたらどうしよう」など、迷いが出るのは当然です。
もし年収交渉に自信がない場合は、転職エージェントを活用するのも一つの手です。
単に条件を伝える代行ではなく、
・企業ごとの年収テーブルの傾向
・提示額の上限になりやすいポイント
・逆に下がりやすい要素
などを把握したうえで、候補者の立場を最大化する交渉をしてくれます。
自分一人で悩むよりも、経験豊富な第三者と転職活動を進めることで、
精神的な負担を減らしつつ、オファーの内容をベストな形に持っていきやすくなります。
年収交渉のタイミングについては、こちらの記事で詳しく解説しています。
【外資系転職】オファー面談で年収交渉はNG?最適なタイミングとは
まとめ:外資系転職は「準備の早さ」が未来を変える
ここまで紹介してきた5つの準備をもう一度まとめると、次のようになります。
- 英文レジュメを整える
- LinkedInプロフィールを充実させる
- 自分に合った求人チャネルを選ぶ
- STAR式で面接対策する
- 年収交渉を見据えて準備する
外資系転職では「準備の質」がそのまま結果に反映されます。
英文レジュメ・LinkedIn・面接の話し方・年収交渉の材料、これらはすべて個別のテクニックではなく、ひとつにつながった「勝ち筋」です。
レジュメが整っているからスカウトが届き、
LinkedInが可視化されているからチャンスに出会え、
面接対策ができているから選考を突破でき、
年収交渉の準備があるから最後に納得感の高いオファーが取れる。
準備を早めに進めておくほど、この流れが途切れずスムーズにつながっていきます。
情報収集から行動に移るタイミングで迷いが生じにくくなり、結果として「選べる転職」ができるようになります。
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