外資系企業への転職で、すべての選考を終えて採用担当から口頭で「オファーの意思」を伝えられたのに、待っても待っても正式なオファーレター(内定通知書)が届かない。
「これって本当に採用されるの?」「もしかして不採用だったのでは…?」と不安になる人も多いでしょう。
実はこれは外資系企業ではよくあることです。
私自身も初めて外資系企業へ転職したとき、最終面接からオファーレターが届くまでにかなり時間がかかり、「不採用かもしれない」とドキドキした記憶があります。
今回は、オファーレターが出るまでに時間がかかる主な理由と、その間にどんな心構えで待つべきかを解説します。
承認プロセスに時間がかかる
まず理解しておきたいのは、「外資だから遅い」とは限らないということです。
最終面接から1週間以内にオファーレターが届く企業もあります。
では、なぜ企業によってスピードに差が出るのか。
最大の理由は社内の承認プロセスの違いです。
採用部門の担当者(もしくはHiring Manager)は、採用候補者が決まった後に条件を確定し、社内で承認を取る必要があります。
「この条件で採用したいので承認をお願いします」という申請を行い、承認が下りた内容が正式なオファーレターに反映されます。
つまり、承認が下りない限りオファーレターは発行できません。
海外本社承認が必要なケース
承認プロセスがシンプルで、国内だけで完結する企業であれば早く進みます。
一方で、本社(海外)承認が必要なケースでは時間がかかる傾向があります。
私が勤めていた企業では、オファーレターの承認に非常に時間がかかりました。
Hiring Manager、その上司、そのまた上司…と、最上層の役員まで含めて7〜8人の承認が必要だったこともあります。
特に海外の上司が休暇中だと、プロセスが完全に止まってしまうことも珍しくありません。
メールをチェックしてくれればいいのですが、休暇中は完全オフという文化も多く、休み明けまで動かないというケースもあります。
こうした事情から、オファーレターの遅延は「承認待ち」であることが非常に多いのです。
選考全体が遅れる背景については、こちらの外資系企業の選考が遅い理由|採用の裏事情を元採用担当が解説でも詳しく解説しています。
バックグラウンドチェック(経歴調査)に時間がかかる
外資系企業では、採用予定者の経歴を第三者機関を通じて調査する「バックグラウンドチェック(Background Check)」を実施することがあります。
これは、提出された履歴書や職務経歴書の内容と、実際の学歴・職歴に相違がないかを確認するためのものです。
この過程で何か問題が見つかると、オファーレターの提示が遅れることがあります。
もし履歴書と実際の経歴が異なる場合、それが単なる記入ミスなのか、意図的な経歴詐称なのかを企業が判断する必要があるからです。
わずかな相違でも採用取り消しとなる企業もあるため、書類作成時には正確さを徹底することが重要です。
外資系の選考フローそのものを知っておくと、オファーまでの時間感覚も掴みやすくなります。
詳しくは外資系企業の転職の流れは?面接プロセスと注意点をわかりやすく解説をご覧ください。
採用条件の調整・特別承認に時間がかかっている
採用予定ポジションの給与レンジ内であればスムーズに承認されますが、レンジを超えるオファーや特別報酬(RSU、サインオンボーナスなど)が含まれる場合、特別承認が必要になります。
外資系企業では、ジョブレベル(Job Level)ごとに給与レンジが決まっており、同じポジションでも給与レンジに数百万円の幅があるケースもあります。
このレンジをオーバーする場合、通常より時間がかかるのは当然です。
特別承認が却下される場合もあり、その際は条件の見直しと再承認プロセスが必要になります。
このため、条件交渉や調整が続いている段階ではオファーレターが出ないこともあります。
会社の業績・予算など内部事情の影響
もうひとつの要因として、会社の業績悪化や予算変更などの内部事情が挙げられます。
特に外資系企業では、Hiring Freeze(採用凍結)が突然発令されることがあります。
この場合、すでに承認プロセス中だったオファーも含め全ての採用活動がストップしてしまうことがあります。
Hiring Freezeは本社判断となるため、日本オフィスの採用担当者がどうにもできないケースも多いです。
こうした場合は、待つ以外にできることはありません。
急ぎで転職したい場合や、他社の選考も並行して進めている人は、どこまで待つかを判断する必要があります。
転職活動の進め方に悩んでいる人は、LinkedInと転職エージェントのおすすめの使い分けを比較解説をご覧ください。
不安なときは採用担当者に確認を
外資系企業では、オファーレター提示までに1〜2週間程度かかるのが一般的です。
それを超えて時間が経っている場合は、採用担当者に確認してみましょう。
「オファー承認の進捗状況をお伺いできますか?」
「どのくらいのタイムラインを想定されていますか?」
といった形で丁寧に聞くと、状況を教えてくれることもあります。
口頭でオファーの意向を伝えられた時点で、正式なオファーまでどの程度の時間がかかるか聞いておくことも必要です。
承認遅延の原因がヘッドカウントにあることも。
詳しくはヘッドカウント=採用枠?外資系転職で知るべき人員管理と選考スピードの関係を参考にしてください。
まとめ:オファーレターが遅くても慌てない
外資系企業のオファーレターが遅い理由は、主に次の4つです。
- 承認プロセスが複雑で時間がかかる
- バックグラウンドチェックの結果待ち
- 採用条件の調整・特別承認中
- 会社の業績やHiring Freezeによる影響
どれも外資系企業ではよくある話です。
不安になりすぎず、担当者やエージェントと連絡を取りながら冷静に待ちましょう。
外資系企業のプロセスに慣れていない人は、転職エージェントを通して転職するのも安心です。
エージェントは各社の承認フローを把握しているため、「今どの段階なのか」を把握しやすく、無駄に不安になることも減ります。
外資系のオファーレターに関するよくある質問(FAQ)
Q1. オファーレターは通常どれくらいで届きますか?
A. 外資系企業では、最終面接後から1〜2週間程度で届くケースが一般的です。
ただし、海外本社の承認が必要な場合や、特別な報酬(RSU・サインオンボーナスなど)が含まれる場合は、さらに時間がかかることもあります。
Q2. 口頭で内定をもらったのに連絡が来ないのは不採用ですか?
A. ほとんどの場合は承認プロセスが止まっているだけです。
不採用の場合は正式に連絡があることが多く、音沙汰がない=不採用とは限りません。
心配な場合は採用担当者に「承認の進捗はいかがでしょうか」と丁寧に確認してみましょう。
Q3. オファーレターが遅い場合、他社の選考は進めていい?
A. もちろん構いません。
オファーレターが届くまでは正式な採用決定ではないため、他社選考を並行して進めるのはリスク回避策です。
仮に同時期に複数社からオファーが出た場合は、条件を比較してから最終判断すれば問題ありません。
Q4. Hiring Freeze(採用凍結)にあたった場合はどうすればいい?
A. 残念ながら個人の力では動かせません。
Hiring Freezeは本社判断であり、既に承認プロセス中でも一時停止になります。
すぐに転職したい場合は他社の選考に切り替える、待てる場合は採用担当者と定期的に連絡を取りながら再開を待つのが現実的です。
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