外資系企業に転職すると、多くの場合「試用期間(Probation Period)」が設定されています。一般的に3か月から6か月ですが、この期間は日本企業の「慣れるための準備期間」とはまったく意味が違います。外資では、この90日間で「採用して正解だったかどうか」が冷静に判断されます。
つまり、最初の90日は「評価猶予」ではなく「成果確認」の期間です。ここで期待に応え、信頼を得て小さな成果を出せば、その後のキャリアは安定します。逆に、動き方を誤れば「期待外れ」と見なされ、早期に契約が打ち切られるリスクもあります。
では、外資で成功する人は最初の90日をどのように過ごしているのでしょうか。ここでは実務的に取り組むべき6つのステップを解説します。
Step 1. Probation Periodの意味を理解する
最初に押さえておきたいのは、「試用期間はただの形式ではない」ということです。外資系では、試用期間は戦力としての適性を見極めるための実質的なテスト期間です。
- 仕事の成果が出せているか
- チームや上司と円滑にコミュニケーションが取れているか
- 会社のカルチャーに適応できているか
これらが短期間でシビアに見られます。日本企業のように「とりあえず慣れる期間」ではなく、最初から評価対象になる点を忘れてはいけません。
実際に外資の試用期間では、Hiring Managerが冷静にパフォーマンスや適応度を見極めています。期待外れと判断されれば、採用取消や試用期間延長となるケースも珍しくありません。 「形式的に置かれている期間」と考えてしまうのは致命的な誤解です。
外資系では「すぐクビになる」という噂もありますが、日本の労働法のもとで一方的に解雇されることはありません。
ただし、試用期間は文字通りの「試用の期間」であり、実際に成果や適応度を見極められています。外資系企業の解雇に関しては 外資系転職にまつわる不安と誤解 をご覧ください。
Step 2. 期待値を上司に確認する
入社直後に必ずやるべきことは、「自分に何が期待されているか」を明確にすることです。
- 採用されたポジションとして何を達成すれば合格ラインなのか
- 最初の90日で具体的に求められる成果やKPIは何か
これを把握せずに仕事を始めてしまうのは大きなリスクです。外資では「聞かれなかったから説明しない」というスタンスが当たり前。自分から動いて質問しない限り、上司は細かく教えてくれません。
Step 3. アクションプランを握る
期待値を確認したら、それをどう達成するかを上司と握ることが重要です。
- 「最初の90日でこういうアクションを取ろうと思います」
- 「このプロジェクトに取り組んで成果を出すつもりです」
と自分から提案し、上司に承認を取っておくと安心です。これは評価基準を共有することにもつながります。後で「そんな成果は期待していなかった」と言われるリスクを避けるためにも、初期段階での合意形成が不可欠です。
Step 4. ステークホルダーと関係構築
外資の成果は、自分の力だけでは出せません。関連部門や他国チームなど、周囲の協力が欠かせないからです。
最初の90日は「この人と一緒に仕事がしやすい」と思ってもらえるかどうかがカギ。
- 上司に「誰と関わるべきか」を確認
- 積極的に自己紹介や1on1を設定
- SlackやTeamsでのレスポンスも意識的に
「成果を出すために必要な人脈」を短期間で築くことが、その後の仕事の土台になります。
Step 5. カルチャー・システムに早く慣れる
外資系ではカルチャーやシステム面の適応スピードも評価されます。
- 英語の略語や専門用語
- 海外チームとの会議の進め方
- 業務ツール(CRM、ERP、社内システムなど)
これらに早く慣れることが「即戦力」と見られるポイントです。特に日系企業から転職してきた人は、外資独特の用語やフラットなカルチャーに戸惑うことが多いので、積極的に吸収していく姿勢を示しましょう。
Step 6. 成果を小さく出す
最後に重要なのは、90日以内に「目に見える成果」をひとつ出すことです。
- プロセス改善の提案
- 数字改善につながる小さな施策
- チームが助かる仕組みの導入
大きな成果でなくても構いません。「この人を採用してよかった」と思わせる小さなインパクトを残すことが、Probation突破につながります。
万が一、入社後に「思っていたのと違う」と感じたときは、無理に抱え込む必要はありません。
その場合の選択肢については 転職後に後悔したときの対処法 にまとめています
まとめ
外資系企業の最初の90日は、単なる試用期間ではなく「即戦力としての適性を証明する期間」です。
- 試用期間の意味を理解する
- 上司に期待値を確認する
- アクションプランを握る
- ステークホルダーと関係を構築する
- カルチャー・システムに早く慣れる
- 小さな成果を出す
この6ステップを意識して動けば、Probationを突破し、外資で長期的にキャリアを築くための土台ができます。
あわせて読みたい関連記事

