転職エージェントを使ってみたものの「この担当者で大丈夫かな?」「言われるがまま進めて失敗しそう」と不安になる人は少なくありません。実際、私が採用の現場で見てきた中でも、「エージェント選びの失敗」が原因で転職活動が長引いたり、希望しない企業に流されてしまったケースを多く見てきました。
そこで本記事では、「こんなエージェントはやめておけ」という代表的な特徴を3つに絞って解説します。転職活動を成功させるためには、良いエージェントを見極めるのと同じくらい「悪いエージェントを避けること」が大切です。この記事を読めば、不要なトラブルを避けて、納得のいくキャリア選択につなげられるはずです。
やめておくべき転職エージェントの3つの見極めポイント
まず大前提として、転職エージェントは営利企業です。売上・利益の追求は当然であり、どの会社にも営業目標があります。
その上で、「良いエージェント」「悪いエージェント」、さらに「自分に合うかどうか」を見極める視点が重要です。ここではやめておいた方が良いエージェントの3つの特徴を紹介します。
話をほとんど聞かずに求人を勧めてくる
こちらの希望や状況をろくにヒアリングせず、「今ちょうどこんな求人があるんですよ」と、とにかく応募を促してくるタイプ。これはかなり多く見られます。
なぜそうなるかというと、企業から求人の依頼を受けたばかりの「ホットな案件」や、人が集まらない「難航中のポジション」など、紹介できれば売上に繋がりやすい案件を優先的に勧めてくるからです。
このタイプのエージェントは「採用が決まりやすい=売上になりやすい求人」を優先的に紹介してくる傾向が強く、応募者の希望や将来像は軽視されがち。顧客企業に紹介できる人材を確保することが目的になっており、本来のキャリア支援の意義からズレています。
本人の希望やキャリアに沿っていない求人ばかり提案される場合は、そのエージェントとは距離を取るのがベストです。
自社都合で応募をゴリ押ししてくる
エージェントは基本的に「成功報酬型」。求職者が入社して初めて収益が発生します。だからこそ、売上重視のエージェントは「とにかく応募を増やすこと」に必死です。
- 書類通過率が高そうなポジションを無理に勧めてくる
- 少しでも可能性がある求人はとにかく数多くエントリーさせようとする
これは、自社の営業ノルマを優先している証拠であり、求職者の希望とは関係ありません。
本来であれば、候補者の適性や志向を踏まえてマッチングすべきところを、とにかく紹介数を稼ごうとする「案件消化型」のエージェントには注意が必要です。
求人や企業情報が曖昧、または不正確
企業のホームページや転職サイトに載っている以上の情報を何も持っていない、あるいは質問しても「確認します」と言ったきり返事が来ない―そんなエージェントも残念ながら存在します。
信頼できるエージェントは、以下のような「現場情報」に精通しています:
- 募集背景
- 選考プロセス
- 面接官の特徴
- 上司となる人物像
- チーム構成
- 実際の働き方や社内カルチャー
これらは、企業と密に取引しているエージェントだからこそ得られる情報です。これがないと、エージェントを使う意味がなくなってしまいます。
信頼できるエージェントを見極めるためのチェックリスト
- ヒアリングを丁寧に行ってくれる
- 希望に対して現実的なアドバイスをくれる
- 担当業界・職種への理解が深いか
もし「良いエージェントの特徴」も知って比較したい方は、こちらの記事をどうぞ 👉 転職エージェントの選び方|失敗しないためのチェックポイント
✔ 丁寧なヒアリングと現実的なアドバイスがあるか
希望をすべてそのまま聞いてくれるエージェントが「いいエージェント」というわけではありません。
今のスキルや経験をしっかり把握したうえで、「今ならこのポジションが現実的です」「このキャリアを積めば次回の転職で希望を狙えます」といった、経験と知見に基づいた現実的なアドバイスをしてくれるかどうかが大切です。
✔ 担当業界・職種への理解が深いか
また、担当している業界や職種に精通しているかも重要なポイントで、エージェントの知識レベルで転職の質が変わります。業界経験者や専門特化の担当者は信頼の材料に。
エージェントによっては、新卒で入社したばかりの若手が30代・40代の求職者を担当するケースもあります。もちろん年齢の問題ではありませんが、業界の最新動向や応募職種で成功するために必要な知識や情報を持っているかが問われます。
中には、システム上で条件を入れて機械的にマッチした求人を紹介するだけで、それ以上の情報を持たずに案内してくるケースもあります。
信頼できるエージェントとは、一定期間その業界・職種を担当していた経験があるか、あるいは元々その業界や職種の出身者で、今はエージェントとして働いているような、現場を理解している人です。そういった人からは、実践的で役立つアドバイスを得やすいです。
✔ 大手と特化型、それぞれの強みを理解して選ぶ
エージェントにも特色があります。
たとえば、IT業界に特化したエージェント、営業職に特化したエージェントなどがあり、特化型はその分野に強みがあります。一方で、大手エージェントは幅広い業界・職種を網羅していて、求人の数が多いのが魅力です。
業界や職種に特化したエージェントは、自社の強みとする分野で勝負しているため、希望の業界や職種がある程度決まっている場合には、積極的に活用するのが◎です。
一方で、大手エージェントは非公開求人や自分が知らなかった企業の求人を豊富に持っていたり、次々と求人を紹介してくれるなど、データベースの厚さが魅力です。
規模が大きくなるとサポートが手薄になるのでは?と不安に思うかもしれませんが、小規模な特化型エージェントであっても担当者のスキルや経験に差があるため、これは一概には言えません。
まずはスカウトを受けたら話を聞いてみる、名前を知っている大手に登録してみる、業界や職種が決まっているならその専門エージェントに登録してみるなどして、複数のエージェントと接して比較することが大切です。
そして、この記事で紹介したような見極めポイントを参考にして、「付き合うべきでないエージェント」を避け、「信頼できるエージェント」に出会うことが、転職成功への第一歩になると思います。
どんなエージェントが合うかは人それぞれです。実際の体験談をもとに「スカウトメールの見極め方」をまとめたこちらの記事も参考になりますよ。
まとめ:失敗しないために大切なのは「距離感」と「主導権」
転職エージェントをうまく使いこなすために大切なのは、「適切な距離感」と「主導権を持つこと」です。
エージェントはあくまでサポーターであり、転職の最終的な判断をするのは自分自身。
・こちらの希望をしっかり聞いてくれるか
・情報の質が高いか
・無理な応募の強要がないか
この3つを軸に見極めれば、信頼できるエージェントとだけ付き合うことができます。そうすれば、余計なストレスや後悔を避けながら、納得のいくキャリア選択につなげられるはずです。
また、「この担当者は合わないな」と感じたときは、無理せず切り替えるのも一つの方法です。
詳しくはこちら 👉 転職エージェントの断り方|スカウト~内定後までステージ別に解説
以上、こんな転職エージェントはやめておけ【3つの見極めポイント】でした。
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