電車内でもよく見かける転職フェアの広告。 転職を考えているとき、「参加してみようかな」と思ったことがある人も多いのではないでしょうか。
でも、転職サイト、転職エージェント、企業のダイレクトリクルーティングなど、今は転職の方法も多様化しています。
私自身、外資系企業で中途採用の担当をしていたときに、何度も転職フェアに参加した経験があります。 その立場からお伝えすると、転職フェアは「複数ある採用チャネルのひとつ」であり、企業にとっての優先度はそれほど高くありません。
そんな中で、「転職フェアって実際どうなの?」と疑問を感じている人に向けて、この記事を書きました。
転職フェアの企業側の期待値は高くない
転職サイトへの広告掲載と比べると、転職フェアの“期待値”は控えめです。 ここで言う期待値とは、「当日すぐに良い人材に出会えて、採用につながる可能性が高いかどうか」という意味です。
企業側の本音としては、「もし当日、すごくいい人が来ればラッキー」くらいに考えている場合がほとんどです。
なぜその場で採用につながりにくいのか
多くの人が一気に集まる転職フェアでは、ブースでの短時間の会話だけでは、その人が自社にフィットするかを見極めるのは非常に難しいです。
また、フェア主催企業側も来場者数を増やすため、参加条件にほとんど制限を設けていない場合が多く、企業としても「本当に採用したい層」と出会える確率は高くありません。
そのため、企業ブースでは通り一遍の企業説明や募集職種の紹介にとどまり、面接のような踏み込んだ対応はほとんどできません。
採用難易度が比較的低い企業、いわゆる“不人気企業”であれば、当日に面談を行う場合もありますが、それは例外的です。
転職フェアは企業の広報・マーケティング活動でもある
では、採用につながる可能性が低いにもかかわらず、なぜ企業は転職フェアに参加するのでしょうか?
その理由は「採用活動の一環としての広報・マーケティング効果」にあります。
厳しい人材獲得競争の中、少しでも多くの人の目に触れることを目的に、企業は転職フェアを活用しています。
「中途採用を積極的に行っていますよ」という姿勢を示すだけでも、将来的な応募者に対しての認知度向上につながります。
大手転職フェアでは参加企業の一覧が大々的に広告されるため、 「この会社、中途採用してるんだな」と転職潜在層の記憶に残れば十分な成果といえます。
実は無料で参加している企業もある
大手企業が転職フェアに実質無料で招待されるケースもあります。
これは主催側の事情もあり、有名企業が参加することで来場者数を増やしたいという狙いがあるからです。
私も実際に「無料でいいので参加してくれませんか」とお願いされたことがありました。
知名度の高い企業が出ることで参加者が増える。その結果、あまり知名度が高くない企業にも多くの人が訪れてくれる――そんな“客寄せ効果”を見越して、大手に声がかかるのです。
転職フェアは意味ない?実はそうとも限らない
では「転職フェア=意味ない」のかというと、決してそうではありません。
企業が広報活動の一環として出展しているのと同じように、 転職希望者側も「情報収集の場」と割り切って参加するのは大いにアリです。
特に、興味のある企業が出展している場合は、採用担当者と直接会話できる貴重なチャンス。 気になることを応募前に質問できる可能性もあります。
採用担当者から企業文化を感じ取れる
採用担当者は「企業の顔」とも言える存在です。
その人の対応や雰囲気から、企業文化や職場の空気感を感じ取れる場合もあります。
転職サイトや企業HPには載っていない、リアルな情報を得るきっかけになることも。 企業ブースだけでなく、講演やセミナーを行っている企業もあるので、そういった場を活用するのも良いでしょう。
🎯 採用担当者の視点をもっと知りたい方へ
今回の記事で少し触れた「採用側の考え」について、より深く知りたい方はこちらの記事も参考になります。
書類選考には進めないことも多いが…
たとえ企業ブースで担当者と話しても、後日、通常の書類選考に進むケースがほとんどです。
それでも「どんな職種を積極採用しているのか」「求める人物像はどんな人か」などを直接聞ける機会は貴重です。
事前準備をして最大限活用しよう
転職フェアを“意味のあるもの”にするかどうかは、参加者次第です。
- どんな企業が出展するかを事前にチェックする
- 聞きたいことをリストアップしておく
- 気になる企業に積極的に話しかける
といった準備をすることで、単なる説明会以上の価値ある体験になります。
まとめ|転職フェアの“意味”は自分で作れる
転職フェアは「その場で内定を得られる場所」ではなく、「企業と直接会える数少ない場」だと捉えるべきです。
転職フェアの本当の価値は、出展企業の意図を理解しつつ、参加者が自ら行動することで初めて見えてくるものです。
「転職フェアは意味ない」と言われる背景には、過度な期待や準備不足があります。
事前に戦略を立て、情報収集のチャンスとして最大限活用することで、転職活動をより有利に進めることができるでしょう。
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